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#1-3 介護業界の離職率改善ストーリー〜小林の取った行動「とにかく話を聞く、可視化する」〜

2023/06/10

離職率改善コンサルタントとして介護業界で活躍している小林武尊(こばやし たける)。全4回に渡って、小林が所属する社会福祉法人で、離職率改善を目指すまでのストーリーをお伝えしています。

第3回となる今回は、社会福祉法人が運営する介護施設に入職して目の当たりにした現実から、小林がどのような行動を取るのかについてのお話です。

コミュニケーションが成り立たない厳しい現実

小林がなぜ介護業界で仕事をすることになったのか、そもそも離職率改善コンサルタントとして仕事をするきっかけとなった経歴などについては、ぜひ第1回、第2回の記事をご確認ください。

社会福祉法人の理事長からヘッドハンティングされ、その法人のなかでも最も厳しい状況にある施設に入職することになった小林。入職した次の日、施設内で行われたリーダー会議では施設長に対して暴言を吐く職員がいるなど、厳しい現実を目の当たりにすることになります。その時の会議で小林が発言する機会はなかったものの、傍目にも相手の話を聞こうとしない、聞いても何も変わらないという諦めが手に取るように見え、コミュニケーションが成り立っていないことがわかります。

同じ施設で働く職員同士のコミュニケーションが成り立たないということは、施設が置かれている現状も理解できていないということと同じです。

小林には、株式会社が運営する介護施設で3年ほどの経験がありましたが、この社会福祉法人では新人も同然です。いきなり来たニューフェイスに周りの職員が心を許してくれるはずもなく、「あいつは何者だ、本部の犬だろう」といった態度で頑なに拒まれてしまいます。まずは、本部から来たけれども、職員の皆と同じ目線に立って、みんなの味方であることを示さなければならないと考えました。

「自分や、自分の家族が受けたい介護になっているか」という問い

そこで小林は、職員の人に対して「自分や、自分の家族が受けたい介護になっているか」と問いかけてみます。大勢の職員が喧嘩腰で、いつも噛みつくような状態で、施設長の話も聞かず、そもそも聞くことができない状況の職員に、自分や自分の家族を託したいと思うのか、という問いです。

おおよその職員からの答えは、「NO」でした。では、どのような改善、工夫をすれば先の問いに対して「YES」と答えられるようになるのか、小林は続けます。

そうして帰ってきた答えは、改善案よりも愚痴がほとんどだったといいます。その愚痴のほとんどが、噛みつくだけになっている労働組合に対してか、あるいは施設長に対してで、ほかにも「法人は何もしてくれないから」という返答も多く聞こえました。

小林は職員に対してここでも更に疑問をぶつけます。法人とは、具体的に誰のことを示しているのか、「何もしてくれない」は具体的にどんな経験からそう思ったのか突き詰めていきます。

質問を重ね、突き詰めて話を聞いた結果、現場である施設で困ったことや改善すべき点があった場合に施設長に報告、相談するも、施設長から返ってきた答えが「法人(あるいは法人の本部)からダメだと言われた」というものでした。だから現場の職員は「法人が何もしてくれない」と考えるのだということがわかりました。

勘の良い方はお気づきかもしれませんが、この施設長は現場の声を本部に報告していたわけではありません。自分で解決できるわけでもなく、上長や本部に声を上げるわけでもなく、自分の中で留めておいて、忘れたころに現場の職員へ、つまりは自分の部下へ適当な返答をしていたというわけです。

また、社会福祉法人のなかでも、理事長の次の役職にあたる常務が施設に顔を出すこともありましたが、その時に話す職員はごく少数で、限られた職員との”おしゃべり”程度で終わってしまうこともしばしばでした。施設長をはじめ、常務を含めた決定権や責任のある役職の人が、その役職らしい仕事ができずに職員の信頼を失っていった先の惨事だったということです。

課題と改善を可視化することで職員の信頼をキャッチ

小林は、現場の職員ととにかく対話することを続けました。「自分や、自分の家族が受けたい介護になっているか」という問いのほかにも、現状で不満や不安に思っていること、課題に感じていることなどがあればとことん聞き出すようにしたといいます。

それも、施設全体に問いかけるのではなく、一人ひとりとの対話の時間を大切にしていたため、3ヶ月ほどの期間を要しました。そのうちに、出てきた課題は社会福祉法人の理事長をはじめとした幹部へ報告し、共有することを習慣化し、できることはすぐに解決へ向かうようにと取り組むようになりました。

また、小林は解決の過程においても可視化することを心がけます。何が問題で、どのようにして解決したのか、何を解決したのかを施設内に張り出してどの職員の目にも届くようにしました。これによって小林がどう行動しているかを見える化したのです。小林の行動が明確になると、一定の職員は次第に小林を認知しはじめ、少しずつ信頼を寄せるようになります。

職員が同じ方向を向いて仕事をするために

少しずつ現場での課題を解決していくと、小林は次の行動に移ります。理事長と企業理念を作ろうと考えます。社会福祉法人として、理事長を先頭に職員はどのような方向を向いて仕事をしていくべきなのか、向かうべき場所はどこか、企業理念としてしっかりと示そうということです。

ビジョンと行動指針を作り、またそれを職員に浸透させることで組織として一致団結することができるだろうと考えました。また小林は、この企業理念をもって仕事に取り組むことが、結果として離職率の改善につながるだろうと考えています。

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株式会社ジャパンスタンダードでは、対話を重ねることを最重要として、介護業界での離職率改善に取り組むサービスを提供しています。気軽に相談を申し込むこともできますので、まずはホームページを確認してみてください。

今回は、施設の職員に徹底的に話を聞いた結果、あぶり出された問題をどのように解決するか、また、社会福祉法人としてどんな方向性を持って行動していくのかを検討する内容についてお話しました。

次回最終回は、現場はこの施策によってどのように変化したのか、さらに組織全体に理念を浸透させるにはどうすれば良いのかについてお伝えします。