医療・介護業界の問題を解決するために必要な策とは?
2023/07/03
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2023/07/03
介護業界は慢性的に人手不足と言われ続けていますが、なぜ、この問題は一向に解決されないのでしょうか?
今回は介護業界の人手不足の現状と原因について、最新データから読み解くとともに、近い将来を予測した今後に役立つ対策7選、最後に採用事例もお伝えします。
原因を知り、対応策を見たなかで、ぜひ、ご自身の事業所に当てはまったり、役に立ちそうなものがあれば幸いです。
まず「社会全体における介護職不足」問題について、厚生労働省が公表した資料を元に見てみましょう。
出典:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
都道府県が推計した介護職員の必要数を見ると
2023年度には約233万人(+約22万人(5.5万人/年))
2025年度には約243万人(+約32万人(5.3万人/年))
2040年度には約280万人(+約69万人(3.3万人/年))
となりました。
※()内は2019年度(211万人)比
国全体で見ると、2025年度までは毎年5万人規模で介護職人材が不足しています。しかし、ここがピークとなり、2040年度には毎年3万人の不足へと、不足人数が減少します。
この頃になると高齢者も減りはじめ、介護需要そのものがピークアウトします。人材不足感が最も激しいのは、これからの数年であるということがわかります。なので今が最も介護業界において、人材が不足していると言えます。
以下は、資料内で書かれている一部抜粋です。
「介護分野に従事する一人一人が、意欲・誇り、さらに、やりがいや希望を持って働くことができる魅力的なものとなっていくためには、基本的な雇用管理や処遇等を改善し、安定的な人材確保に努めていくことが必要である。」
出典:「介護労働者の確保・定着等に関する研究会 中間取りまとめ」について
「国民に対し、介護サービスが今後の少子化・高齢化を支える働きがいのある仕事であることについて理解を求めていくことが重要である。」
出典:「介護労働者の確保・定着等に関する研究会 中間取りまとめ」について
もちろん、ここに記載されているのはごく一部で、他にも原因や対応策はさまざなあるかと思います。
次の章で、さらに対応策について、具体的にお伝えします。
内閣府の資料によると、日本の総人口は、平成30(2018)年10月1日現在で1億2,644万人となっており、65歳以上の高齢者は人口の28.1%を占めています。
前年が27.7%ということから、今後も高齢者の割合は増加傾向にあると見込まれます。
4人に1人以上が高齢化なのが今の日本の現状です。
その分、介護施設の利用者も必然的に増えるということになります。
日本の出生数は減少を続けており、上のグラフでもわかる通り、令和47(2065)年には約56万人になると言われています。
出生率の減少は、生産年齢人口(15~64歳)にも影響を与えており、令和11(2029)年には6,951万人、令和47(2065)年には4,529万人と減少することが予測されています。
この結果から分かるように、いま日本全体で介護を必要とする高齢者が増え続け、反対に介護を担う若者が減っていくという危険な状態に陥っています。
介護業界に対してきつい・汚い・危険の「3K」のイメージを持っている層は多いのが現状です。
そして、離職率が高いのも悪いイメージに加担しています。
離職理由の上位に「給与が低い」というのも大きな原因です。
超高齢社会を迎えている日本では、これから先、介護職の需要はますます増え、将来的にもなくならない仕事であると言えます。
常に人手不足の市場であり、無資格でも働くことができるために比較的就職しやすいという面から、介護士全体の平均給与を上げなくても介護職の仕事を求める人がいなくならないという実情があることも考えられます。
背景のひとつに以下が上げられます。
入居者さんだけでなく、決まったスタッフと働くことが多いのも一つの特徴です。
人間関係はこの業界に関わらず難しい問題ではありますが、長時間同じ施設内で働くからこそ、人間関係の悪化はその施設内の雰囲気も悪くします。
結論から申し上げると、何よりも働きやすい環境を整えるのが1番の答えです。
そもそも、介護施設でも人材部族の原因は大きく2つに大別されると思います。
1つ目は、社会的な国内的問題である「少子高齢化」です。
しかし、こちらはいち企業や、業界が努力して変えられるものでも、数年で解決する問題でもありません。
2つ目は、労働環境問題です。
こちらは、まさにいち企業が取り組むべき問題であり、取り組めば取り組んだ分だけ解決に進むことが考えられます。
しかし、毎日の労働に加えて経営管理もして、正直体力的にも限界の経営者様・従業員様が多いのが現状ではないでしょうか。
そんな状況でも可能な対応策を、つぎに7つ並べますので、ぜひ参考になれば幸いです。
業務改善に有効な方法の一つにICTによる業務代替、簡略化があります。ICT機器・ソフトウェアの導入は「不足している労働力を補完する」「既存の労働力を省力化する」既存の業務効率・生産性を高める」など様々なメリットがあります。ICT機器・ソフトウェアには以下のようなものがあります。
ICT機器・ソフトウェアの導入は、「業務を効率化」するだけでなく、「サービスの質向上」「利用者の満足度向上」にもつながる可能性があります。事業所の目的に沿ってICT機器・ソフトウェアの選定と導入プロセスを検討しましょう。
Information(情報)and Communications(通信)Technology(技術)での略です。
情報通信技術のことです。ITの「情報技術」に加えて「コミュニケーション(通信)」性が具体的に表現されている点に特徴があり、ネットワーク通信による情報・知識の共有が念頭に置かれた表現です。
日本では、まだあまり普及していない言葉ですが、世界的にはITよりもICTという表現が一般に使われています。
ユニットケアは10人程度の入居者を1ユニットとして同じメンバーで生活し、専任のスタッフがケアにあたる介護手法です。
ユニットケアのメリットは入居者の尊厳や生活を尊重するだけではなく、少人数なので目の行き届いた介護ができることや、考えたことをユニットごとに実践しやすい環境をつくることができるなどがあります。
自由度が高く、ギスギスした人間関係を改善することで、従来の集団ケアよりも介護職員のストレスを抑えることができる手法として導入が進んでいます。
教え方を統一することで、指導者によるばらつきを防ぐだけでなく、新人の理解を早め、かつ深めることができます。
OJTでは、4段階職業指導法を用いて育成を行います。
「Show(やってみせる)Tell(説明する)、Do(やってもらう)、Check(評価する)」のプロセスを教育を担当する全員が把握しておくことが大切です。
介護人材の不足に対し、政府が力を入れている施策のうちの1つが外国人人材の活用です。
介護業界での外国人の雇用を進めるため、政府はEPA・技能実習制度・特定技能などの制度を次々導入しています。協定を結ぶ国も増えつつあり、インドネシア・フィリピン・ベトナム・ミャンマーなど、介護業界を希望する多様な国・文化の人材が今後増えていくことが推測されます。
外国人の雇用における大きなメリットは、一定水準に達している人材を長期間雇用できるという点が挙げられます。
外国人雇用に際して助成金や補助金などの支援が活発です。
国からの補助金だけでなく、地方自治体などでは介護分野向けの補助金も増えています。外国人雇用には日本人雇用よりもランニングコストがかかる印象があるかもしれませんが、その分助成金や補助金を活用することでコストを抑制できる場合があります。
例)
・日本語講師による教育
・eラーニング
など
これらも補助金支援対象になります。
採用活動に力を入れているけれど人材不足な事業所は、ぜひ積極的な採用をオススメします。
初任者研修・実務者研修・介護福祉士・介護支援専門員など、介護は資格に応じて介護業務の幅や待遇が変わります。
給与アップするのとともに、従業員のやりがいににも繋がり、離職率低下も目指せます。
以下の場合にオススメです。
「求人広告を出しても応募がこない」
「若い人材が集まらない」
「すぐ辞めてしまって人手不足」
そんな場合は、以下も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
求人票にできるだけ正しく情報を掲載することもそうですが、HPで理念や取り組みを公表したり、世間に向けて介護業界の魅力を発信することで、少しずつ介護業界のポジティブなイメージを伝えていく必要があります。
また、政府もイメージアップのため、勤続10年以上の介護福祉士に月額平均8万円程度の処遇改善を行うと発表しています。
これは職員のキャリアアップを評価することで介護現場への定着を目指すもので、公費1000万が投じられる予定とされました。
実際に働いている現場を、SNSで発信してみるのも採用に繋げる手段の1つです。
InstagramやTikTokなどで、従業員の取り組みや仲の良さなど、自社のHPでは載せきれない日々のことなど、SNSでうまく発信してみてはいかがでしょうか?
介護業界おいて、この先も継続して人手不足は深刻な問題となっています。これから少子高齢化がますます加速していくと考えると、人手不足を完全に解消することは難しいかもしれません。
ただ、企業ごとに適した先を見越した具体的な対策はすることはできます。
本記事が少しでも人手不足解消のヒントに繋がれば幸いです。
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