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前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)のダウンタイム・副作用・リスクについて

2023/12/22

セットバック整形について聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
セットバック整形とは、骨格的に歯茎が前に出ていて、口元がこんもりしてる印象のある人にオススメの施術です。

正式には、前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)という施術の名前で、出っ歯や受け口、口ゴボを改善する骨切り術です。

今回の記事では、前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)の全般における、術後に赤み・腫れなどが生じるダウンタイム期間や副作用、リスクについて詳しくまとめます。
セットバック整形について気になる方はぜひ、記事の内容を参考にしてみてください。

前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)とは

前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)は、出っ歯や受け口、口ゴボなどの症状を改善する際に行う骨切り術です。
前歯部歯槽骨切り術では、上下、左右の第1臼歯4本を抜歯して歯槽骨部を切除することで意図的にスペースを作り、さらに上下顎前歯部分の歯槽骨部を水平骨切りして分節し、後方に動かすことで、顎の形状を変化させます。

前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)が適応となる症状

前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)が適応となる症状には下記のようなものが挙げられます。

  • 上下いずれか(もしくは上下とも)の前歯が飛び出ている
  • 上下いずれか(もしくは上下とも)の歯が前に出ていてものをうまく噛めない
  • 上下いずれか(もしくは上下とも)の歯が前に出ていて口が閉じない
  • 上下いずれか(もしくは上下とも)の口元がもっこりとしている

​​前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)によるダウンタイムと副作用、リスクについて

ここからは前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)によるダウンタイムと副作用、リスクについて詳しくご紹介します。骨を実際に削る施術ですので、術後は医師のアドバイスをしっかり守るようにしましょう。

腫れ・内出血

ダウンタイムの期間には個人差がありますが、前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)の場合、腫れ・内出血が発生し、約1か月で90%程度が改善します。

内出血はあざに似たもので、術直後は赤紫や青色ですが、だんだんと肌の色に近づき1か月前後で黄色い色味に変化します。
その後、腫れや内出血がほぼ完全になくなり、下の肌の色に戻るのは3か月程度と言われています。

また腫れや内出血をできるだけ最小限に抑えるために、術後の生活では気を付けるべきポイントがいくつかあります。
例えば、サウナや長風呂、激しい運動や飲酒などは、出血や腫れを助長することがあるので、体温を必要以上にあげる行為はできるだけ控えるようにしましょう。

また、マッサージなどの血流やリンパの流れが良くなる行為は3か月程度控えるようにしましょう。
そのほかにも、睡眠時にできるだけ上半身を高くして寝るようにし、浮腫を改善することも大切です。

皮膚のたるみと開口障害

前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)では、抜歯によって歯槽骨部を切除しスペースを作り、骨を後方へ移動させることで顎の形状に変化をもたらす手術です。

そのため、術後は骨切り前にはなかった、スペースが生じることで、皮膚にたるみが起こる可能性があります。
たるみが生じるかどうかには個人差があり、一般的に軟組織の厚さに左右されるので、年齢に比例して生じやすくもなります。
もし、たるみが生じてしまった際は、専門の医師に相談しましょう。

前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)の場合、術後の腫れや内出血など間接的な要因によって口の開けづらさが生じることがあります。このような開口障害は多くの場合、手術による腫れ・内出血がひく約1ヶ月後にはほぼ改善することが多いです。

火傷・傷跡

前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)は顔の外面への傷跡は生じません。

ただし、口唇周囲に熱傷が生じその跡が色味や膨らみとなり傷跡として残ることがあります。

これは術者が手に持つハンドピース(骨を切ったり削ったりする手元の装置)が口唇や皮膚に一定時間あたることで生じる低温熱傷によるものです。
このような症状を予防する措置として、口唇に熱傷予防用のシリコン製のカバーを糸で縫い付けたり、アングルワイダーという口唇を広げる器具を装着することで口唇周囲の皮膚をガードするクリニックが多いです。

もし仮に熱傷が発生して傷跡が残ってしまった場合は、傷跡が出来るだけ目立たなくなる作用を持つ内服薬やステロイド外用テープを早期に使用します。さらに傷跡に膨らみが見られる場合(肥厚性瘢痕、ケロイドのケース)、ステロイド注射を定期的に傷跡に打ちます。傷跡の赤みが目立つ場合の対策としては、赤み取りのレーザー治療を1年から2年など継続することで赤みを改善させます。

皮膚の感覚が鈍くなる・しびれが生じる

通常、セットバック手術の骨切りによって神経を誤って切断するということはありませんが、場合によっては下顎や上顎の神経に一時的にダメージが生じる可能性があります。
下顎の骨の場合、前面から歯、歯茎、下唇、頬粘膜などの知覚を支配するオトガイ神経が出ており、骨膜を剥離する過程で稀に神経を傷つけてしまったり、血液を吸う吸引管の先端が作業中に神経束に当たったり陰圧で吸われたり、また、直接神経に触れなかったとしても、皮下組織をめくる筋鉤で下顎の骨膜を引っ張っただけで神経に緊張がかかり伸ばされてダメージが生じることもあります。
また上顎には、頬の前面と上唇の知覚を支配する眼窩下神経と呼ばれる神経が頬骨体部付近から出ています。こちらは骨を切る部位から少々距離はありますが、術野の展開目的で骨膜を筋鉤でめくって引っ張った際に神経束に緊張がかかりダメージが生じる事があります。それにより頬骨前面から上唇部にかけてしばらくの間、しびれが生じることがあります。

感染

骨切り手術に限らず、どのような手術においても感染のリスクは絶対にないとは言えないことは注意しましょう。

糖尿病や免疫不全などの何らかの合併症が元々ある方を除けば、骨切り術で皮下組織や骨に何らかの微生物による感染が発生する確率はかなり低いです。
なぜならば顔面部は血流が良い組織で構成されているため、感染に対して抵抗性の高い部位であるからです。

もしも、骨と骨を固定しているプレートやワイヤーなどに感染が生じた場合は、骨の再接合が、ある程度進んだ約1ヶ月後以降を目安に抜去することができますのでほとんどのケースで感染後のリスクに対応することができます。

もし何か術後異変を感じた場合はすぐに専門医医師に相談をするようにしましょう。

まとめ

今回は、前歯部歯槽骨切り術(セットバック整形)のダウンタイム・副作用・リスクについてについてご紹介しました。手術は全身麻酔が行われ、基本的には日帰りでの施術が可能ですが、ダウンタイムがあるため、術後は安静に過ごすようにしましょう。
出っ歯や口元の出っ張りが気になる。コンプレックスという方には、人気の施術ですので、ぜひ検討してみることをおすすめします。

ただし実際に施術を受ける際には事前に医師のアドバイスをしっかりと聞き、副作用やリスクについても理解した上で施術を行うようにしましょう。